さて、今年は、金環日食などがあり、天文の当たり年とされています。日食は、下の写真のように本校でも観測されました。 しかし実は、明日の中秋の名月も、珍しい天文現象(?)なのです。
日本の古い俗謡に「晦日に月が出る」という文句がありますが、これは「あり得ないこと」という意味です。
わが国では、江戸時代まで月を基準とした暦(太陰暦)が用いられており、月の半ばでは ほぼ満月、月末では ほぼ新月でした。したがって、晦日(=月末)に月が出ることはなく、あり得ないこととして「晦日に月が出る」という文句が生まれたのです。
明治以降、太陽を基準とした暦(太陽暦)が採用されたため、満月が毎月15日前後ということはなくなりましたが、しかし、月が最も美しく観える中秋の名月が月末というのは、滅多にないことです。来年以降しばらくは、中秋の名月が晦日(=月末)という年は訪れません。天文学的ではないかも知れませんが、明日は貴重な日なのです。
大気汚染対策が進み、日本の空も「さぞや、お月さんも煙たかろう(炭坑節)」と歌われた昔に比べると、とても綺麗になりました。工業の町、煙都といわれた尼崎から観る月も、今はとても綺麗です。
しかし、台風が近づき、明日、綺麗な月を観ることができるかどうか? 心配なところです。昔からこの時期は台風シーズンであり、10年に1回ほどしか観ることができない・・・という記述が古文書に残っているほどなのです。
さあ、明日、晦日の中秋の名月を観ることができるかどうか? ハラハラドキドキの水の都です。