2010-07-29

蝶のルートセンサス(猪名川公園)

今日は1年生がやってきた蝶のルートセンサスを紹介します。

尼崎市の北東部に位置する猪名川公園は、猪名川の河川改修によって残った旧堤防の雑木林を整備して公園にしたそうです。貴重な自然が残されていて多様な環境が見られ、蝶もいろんな種が生息しています。

ルートセンサス法というのは、あらかじめ設定したルートを歩いて、目撃した生物を記録していくという調査です。毎回同じルートを同じペースで歩いて調査するため、発見個体数が調査者によってばらつきにくく、質的データ(いたかいなかったなど)と量的データ(何個体いたかなど)ともに精度が高い調査が可能な方法です。だから環境アセスメントの現地調査でよく使われる優れた方法です。目的に応じて、行動のデータなども取ることができます。

ルートセンサスではふつう、1週間に1度くらいの頻度で同じルートを調査します。こうすることで、いつの時期にどの種が何個体活動していて、どうい う行動をしていたのかまでわかります。さらにこのデータを解析すると、チョウの季節変動や年変動もわかり、そこから環境の変化も明らかにできます。今回の記録項目は、種名、個体数、行動、生息環境などです。

また、蝶は、次のような特徴があるので、ルートセンサスに適している生物です。
1.飛ぶために良く目立つ
2.慣れれば飛んでいる姿でも種名がわかる
3.どのような生息環境(森林、草原、河原、山地、畑など)に生息しているかわかっている
4.幼虫がどの植物を食べるかがわかっている

ですから、チョウをしらべると、近くにどんな植物が生えているか、どんな環境があるかも知ることができるというわけです。


チョウの名前を知らない学生がほとんどでしたので、今回はルートを歩きながら実際にチョウを捕まえてみて、図鑑と見比べながら名前を調べながら調査をしました。

猪名川公園のどこに何個体いたかを地図上に記録し、さらにそのチョウがどういう行動をしていたか、周りはどういう環境だったかを記録していきました。

グループで協力して捕まえたり、種名をしらべたり、

河原の斜面を下りたり登ったりして苦労しながら捕まえたチョウを持っての記念撮影。

取ったデータを集計しているところです。いつの間にかどんなチョウを見たか、どんな環境にいたか、ディスカッションも始まっていました。

レポートには、
チョウの種類をだいぶ覚えられて楽しかった、
とか、
アオスジアゲハの行動は読めるようになったので捕まえやすくなったけど、クロアゲハは高いところを飛んでることが多くて捕まえにくかった、
という感想もありました。行動についてもよく観察してたようで感心しました。