2013-03-09

卒業式 校長式辞



昨日の卒業式での校長式辞をご紹介します。

式辞

一日一日と暖かくなり、吹く風に 漂う香りに、春の訪れを感じる 今日この頃。まさに 春本番を迎えようとするこの善き日に、多数のご来賓 並びに 保護者の皆様のご臨席を賜わり 環境学園専門学校 第十七回の卒業証書授与式を このように盛大に挙行できますこと、高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。

さて 環境学園専門学校十七期生 七十二名の皆さん、卒業おめでとうございます。
心から お喜び申し上げます。

皆さんが入学してこられた二年前、私は皆さんに 入学式で三つの「わ」の文字を贈りました。覚えているでしょうか。
環境の環の字の「わ」
車輪の輪の字の「わ」 そして
調和の和の字の「わ」
この三つの「わ」です。

そのとき私は皆さんに、二年後には わっと驚くほど 成長していることを期待しています、と申し上げました。 それから二年、期待に応え 皆さんは 本当に よく成長されました。
これは式典での長としての 美辞麗句ではなく、一緒に授業をし 実験をした、ともに環境を学び、ともに地球に恩返しをしてきた、仲間としての心からの言葉です。
本当によく成長した。嬉しいです。 そして ありがとう 本当にありがとう。

もっともっと 皆さんと 一緒のときを過ごしたいのですが、しかし 残念ながら、時間は止まってくれません。ついに別れのときを迎えることになりました。
残念ではありますが、これは悲しい別れではありません。嬉しい別れです。
おめでとう そして 本当にありがとう。

立派に成長して巣立っていく皆さんに ここで 新たな三つの文字を贈ります。
それは「えん」です。 口だけでは伝わりにくいので 入学式と同じように書いてきました。
円・縁・宴 です。

一つ目の円は一円二円の円です。
皆さん すでに よくご存じと思いますが、お金は大切です。
一所懸命に働いて お給料をいただいて、自分のものは自分で買う。無駄づかいはせず 貯金をして、そして、親孝行をしてください。
皆さんが自分自身で稼いだお金で生活を送り、そして、親孝行をして 家族を養う。これが、仕事で地球へ恩返しの第一歩 基本の基本です。
働くこと お給料を貰うこと、お金、円の大切さを 忘れないでください。

また この円の字には丸いという 意味があります。
通貨の単位に丸いという意味があること、もちろん、コインが丸いということもあるのでしょうが、私は何かしら 日本人の心 和の心を感じます。
皆さん まぁるく生きてください。
角ばって生きるのではなく、円のように まぁるく まぁるく 生きてください。
とんがって ギスギスしながら 生きるのも、一つの人生でしょう、しかし、それは周りを傷つけます。丸い卵も切りようで四角、ものも言いようで角が立つ。他を傷つけるのではなく、まぁるく生きてください。そうすれば、お金以上の幸せを得られると、私は思っています。

そのためには 人と人とのつながりが大切です。
それが二つ目の縁、縁起が良いとか 縁があるとかの縁です。
縁というのは不思議なもので、こうして私が皆さんの前で話をしているのも 縁あればこそです。
いま地球上に七十億人以上の人がいますが、その中で こうして話ができることは すごい縁です。更に 時間のことを考えれば、人類の長い長い歴史の中で 同じ時代に生きていることですら、ものすごくわずかな確率、奇跡すら感じます。
袖すりあうも多少の縁といいますが、人との出会い 人とのつながりを、大切にしてください。
その人と同じ時代に生きていること その人に出会えたこと、その縁を大切にしてください。その縁に感謝してください。
そうすれば、相手の心が伝わってきます。自分の心が伝わります。そして 互いに縁が深まります。そうすれば、あなたの周りに あなたと一緒に笑ってくれる あなたと一緒に泣いてくれる、そんな人が集まってくると 私は思っています。

そんな仲間ができたら 楽しく騒ぎましょう。
それが三つ目の宴、宴会の宴です。
気の合う仲間、もちろん 家族や恋人も含め、気の合う仲間と 語り合い 笑い合い 食べ そして 飲む。大いに楽しみましょう。
通りすがりの人までもが 思わず一緒に騒ぎたくなる、そんな大宴会をしましょう。楽しいですよ。あなただけでなく 周りも楽しいです。

また この宴の字は、うたげとも読みます。
大いに歌いましょう。歌が苦手? 大丈夫。 歌謡曲? ジャズ? クラッシック? 違います。人生の歌を歌うのです。
歌手でなくても大丈夫。作詞家でなくても大丈夫。
自分の生きざまで 自分の人生で 一つの大きな歌を 作ってください。人生を謳歌してください。
いい歌を歌えば その歌を人は聴いてくれます。自然とあなたの周りに 人は集まってきます。

私は 人生は一つの うたげだと思っています。
皆さんの うたげは始まったばかり。多くの人が 二十歳になったところ。うたげの主役のお酒を やっと飲めるようになったばかりです。うたげは いよいよ これからが本番です。
様々な経験をされるでしょう。苦しいこともあるでしょう。悲しいこともあるでしょう。しかし、前向きに明るく 生きてください。
これからの人生を うたげを、楽しく そして 有意義なものにしてください。

さあ 環境学園専門学校 十七期生の皆さん、いよいよお別れです そして 出発です。
皆さんの素晴らしい未来を祈念し 円・縁・宴 の三つの文字を贈り、
私の式辞をエンドといたします。

      平成二十五年三月八日
      環境学園専門学校 校長 岡田博明