2013-09-23

マイヤーレモン


 今日は秋分の日。いよいよ秋本番ですね。
 読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋・・・。秋には色々な言葉が冠されますが、水の都せんせは、何と言っても、食欲の秋です。実りの秋とも呼ばれるこの季節には多くの食べ物が旬を迎えます。人間が手を加えて収穫時期をずらしたものではない、自然の摂理どおりに育った旬のものを食べることは、環境に優しいライフスタイルといえます。

 さて、食欲の秋、実りの秋到来ということで、今日は果物を紹介します。
 




 先日、環境学園専門学校2年生のKさんとSさんが卒業した高校を訪ねた折に、二人の恩師であるK教諭から頂いた「マイヤーレモン」です。オレンジとレモンの自然交雑で誕生したといわれる品種で、一般的なレモンに比べると、皮がつるっとしており、熟すとオレンジ掛かった色になります。酸味が少なく、まろやかな味で、料理や加工に適しているそうです。
 日本では、ニュージーランドからの輸入品が多いそうですが、三重県などでも栽培されています。この国内産の「マイヤーレモン」の元は、東洋製罐株式会社の創立者である高碕達之助氏が、太平洋戦争終了後にアメリカから持ち帰り、兵庫県川西市にある東洋食品工業短期大学の敷地に植えた苗。その穂木を兵庫県伊丹市の農家の方が譲り受け栽培したそうです。
 伊丹市周辺は、日本三大植木処として知られ、造園業が普及した場所ですが、現在、伊丹産「マイヤーレモン」を用いた、ぽん酢やお酒などが地元特産品として販売されているそうです。

 環境学園専門学校がある尼崎市に隣接する伊丹市にこのようなエピソードがあるとは知りませんでした。

 ちなみに、高碕達之助氏は動植物好きとして有名であり、東京動物園協会の会長を務められたこともあります。また、世界の植樹史上に名を残す「荘川桜の移植」は、電源開発株式会社の初代総裁でもあった高碕達之助氏の植物を愛する気持ちがあったからこそできたプロジェクト(ダム建設で湖底に沈む予定であった巨大な桜の古木を湖岸に移植)といえます。
 ダム建設と同時に桜を救う工事が行なわれたことは、当時としては異例中の異例でしたが、いま盛んに謳われている「自然との共生」への強い想いが高碕達之助氏にはあったのかも知れません。

 そんな歴史をもつ「マイヤーレモン」の木がある高校から環境学園専門学校に進学してきたKさんとSさん、ぜひ「自然との共生」への想いを引き継いでください。それが、高校で「マイヤーレモン」を育てておられる K教諭への恩返しになりますネ。